グラミー賞研究の背景・趣旨
- RUANNちゃんのライブ等での発言からすると、彼女がステージに立ち、歌、演奏、ダンスで表現したい、と思ったキッカケや動機は、自分の音楽を聞いてくれる人が笑顔になる、元気になる、癒される、そういった姿や声を見聞きすることで、自分が人の役に立っているという実感をつかみ、幸せや充実感を感じたい。そんな風に思っていると想像します。
- その実感や充実感の大きさは、音楽を届けることができた人の数に比例するはず。より沢山の人の心に自分の音楽を届けるにはどうしたらいいか。手段は色々とある。そのうちの一つがグラミー賞。
- グラミー賞は手段の中でも最大級にハードルが高い。RUANNちゃんの、自分の未来に向けた前向き、上向き、外向きの挑戦を心から応援したい。そして彼女の成長に置いて行かれないよう、ファンとして彼女の立ち向かうハードルの高さを勉強し、今後の応援にも工夫をこらしたい。
- そんな気持ちでこのページを作ろうと思いました。私は素人なので、みなさんの知識や考えも教えてもらいながら作っていこうと思っています。更新は不定期で、ホームページとしての体裁もあまり考えずに、文字が多めになる可能性が高いです。最終的に完成はしないかもしれません。それでも、少しでもお付き合いいただける方がいらっしゃいましたら、とてもありがたいです。
- さて、自分自身注意したいと思っていることがあります。グラミー賞はあくまで手段であって、ゴールではないということです。状況に応じて、そのときの最善の手段を考え選択するのは当然のことです。なので今後RUANNちゃんが方向修正したとしても、グラミー賞だけが目的と錯覚したり、心が囚われないようにしたいです。
ほんとうにグラミー賞に関して知識が無いので、最初のうちは既存のホームページから情報を拾い集め、整理していきたいと思います。
- 米国内でリリースされた楽曲とアーティストが対象
- NARASの会員の投票によって選考される
- NARAS は、ミュージシャン、プロデューサー、レコーディング・エンジニア、その他音楽と音楽マーケットの質と文化的土壌の向上に寄与する者を会員とするアメリカ合衆国の組織
- 売り上げが良くても確実にグラミー賞にノミネートするわけではなく、年間第1位の曲でも受賞を逃すことが多い
2012年現在で78カテゴリーある。以下の4部門は「主要4部門」として特に衆目を集める。これらの賞はジャンルで制限されない。
1. Album of the Year(最優秀アルバム賞) – アルバム演奏者および製作チームに授与される。
2. Record of the Year(最優秀レコード賞) – シングル曲演奏者および製作チームに授与される。
3. Song of the Year(最優秀楽曲賞) – シングル曲の作詞者、作曲者に授与される。
4. Best New Artist(最優秀新人賞) – この1年で著しい活躍をみせた新人に授与される。曲やアルバムには言及されない。正確な発売日やデビュー日時は考慮されない。- 日本人の受賞者は過去11名(オノヨーコ除く)で、主要4部門では受賞者なし。詳細は以下。
1987年(第29回) 石岡瑛子 ベスト・アルバム・パッケージ賞 マイルス・デイヴィスのアルバム「Tutu」のアルバムアートのデザイナー
1989年(第31回) 坂本龍一 ベスト・アルバム・オヴ・オリジナル・インストゥルメンタル・バックグラウンド・スコア賞 映画「ラスト・エンペラー」のサウンドトラック作曲による受賞
2001年(第43回) 喜多郎 ベスト・ニュー・エイジ・アルバム賞 アルバム「Thinking Of You」が受賞
2002年(第44回) 熊田好容 ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞 ラリー・カールトン&スティーヴ・ルカサーのライブアルバム「No Substitutions – Live in Osaka」のレコーディング・エンジニアとして受賞
2008年(第50回) 中村浩二 ベスト・ニュー・エイジ・アルバム賞 ポール・ウィンター・コンソートのアルバム「Crestone」の太鼓奏者
2011年(第53回) 松本孝弘 ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞 B’zのギタリスト。4度のグラミー受賞歴のラリー・カールトンのパートナーとして作成されたアルバム「Take Your Pick」が受賞
2011年(第53回) 内田光子 ベスト・インストゥルメンタル・ソリスト・パフォーマンス賞 アルバム「モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番・第24番」
2011年(第53回) 上原ひろみ ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞 受賞したスタンリー・クラークのアルバム「The Stanley Clarke Band」のピアノ奏者。
2014年(第56回) Sadaharu Yagi ベスト・ラテン・ポップ・アルバム賞 ドラコ・ロサのアルバム「VIDA」を手掛けたエンジニアとして受賞。同作で2013年(第14回)ラテン・グラミー賞も受賞。
2016年(第58回) 小澤征爾 クラシック部門「ベスト・オペラ・レコーディング賞 ラヴェル作曲:歌劇「こどもと魔法」。2013年8月に長野県松本市で録音。サイトウ・キネン・オーケストラが演奏し、地元の子供らの合唱団も参加。
2017年(第59回) 内田光子 最優秀クラシック・ソロ・ボーカル・アルバム賞 ドイツのソプラノ歌手、ドロテア・レシュマンさんの伴奏を務めた、アルバム「シューマン:リーダークライス、女の愛と生涯/ベルク:初期の7つの歌」
- グラミー賞は審査員1万5000人の投票によって決まるが、選考基準として掲げているのは「作品のクオリティ」という1点のみ。つまりセールスは考慮しないように、という暗黙の了解があるのだ。ただ、傾向をみていると、近年の受賞作には統一性が見られることがわかる。それは「サウンドに郷愁性があり、カントリーやフォークの要素が強いアルバムが受賞しやすい」という傾向である。その背景には、人員構成においてカントリー寄りの審査員が最大派閥を築いており、ロックやR&Bなどを好むアーバン系の審査員の数が少ないことがあるといわれている。
カントリーやフォークを連想とさせるエレガンスな郷愁を感じさせる楽曲。宗教的な側面を持つ歌詞、例えば旧約聖書から引用したり、アメリカの歴史を語ったりしている楽曲。
- 第59回グラミー賞。強敵ビヨンセと対決する形になったアデルが、主要3部門を含む5部門を制覇する快挙を成し遂げた。
- グラミーと無縁の人気スターは数多くいるし、一度受賞したとしても、翌年以降は賞レースから外れる場合がほとんどだが、アデルは唯一無二的な同賞の常連。2009年の第51回では新人賞を含む2部門で受賞しているし、12年の第54回では主要3部門を含むノミネートされた6部門全部を制覇した。前回に続いて今回も主要3部門に選ばれたことは、グラミー史上特筆すべき出来事である。
- ビヨンセを筆頭とする他の対抗馬がリズムを強調した音楽表現だったのに対して、アデルだけがオーソドックスなボーカルアルバムのスタイルを取り入れていたことも勝因。エタ・ジェイムズやロバータ・フラックといったアメリカの伝説的なシンガーに影響を受けた彼女らしく、古いスタイルを巧みに料理したような独特のソウルフルな歌声をたっぷり聴かせることとなり、ボーカリストとしての魅力が際立った。
- もっとも、当然といえば当然の結果で、彼女が出したサードアルバム『25』(15年)は自身の過去2作を上回るボーカル表現をなし遂げた傑作として高い評価を得ている。特にアルバムのヒットのけん引役を果たした失恋の曲『Hello』は、ボーカル表現はもちろんのこと彼女自ら書いた歌詞も群を抜いている。「後悔するくらいなら1000回でも電話すればよかった」と切々と訴えかける歌声は、世界中の人々の共感を呼んだ。21世紀を代表する名曲として、ずっと歌い継がれるだろう。
- 来日公演が実現していないなど様々な要因が考えられるが、最大の理由はアデル自身のアーティストとしてのアピールが極めて正攻法で、日本のメディアからすると面白味に欠けるからではないだろうか。要するに、アデルの世界的な人気を支えているのは「歌」そのもので、ウェブの時代には珍しいほどプライベートの切り売りをしない稀有(けう)な存在なのだ。
- ツイッターやフェイスブックなど情報発信には熱心だが、あくまでも音楽に関する内容が中心。必然的にプライベートでの言動が話題の中心になる日本のメディアでは、彼女の露出は限られてくる。プロモーションのために話題作りをするよりも、表現したいことは全部曲に込めて、歌だけで直球勝負に出るのが、本人やマネジメントの方針なのだろう
- そんなアデルの正攻法を物語るエピソードが、12年に起こったレディー・ガガの失言事件。ガガの大先輩ジャネット・ジャクソンやマライア・キャリーもそうだが、ディーバ(歌姫)系のアーティストにはダイエット・ゴシップはつきものであり、その常連のレディー・ガガは自虐ネタ的な部分も含めて常にシーンに登場している。そして当時、激太りをして、メディアから揶揄(やゆ)されていたガガが、自らを擁護するためにアデルのぽっちゃり系の体形を引き合いに出した発言をしたのだ。
- 他のアーティストならすぐに反論して論争が巻き起こり、それが話題になって結果として人気につながるのだろうが、アデル側は無視を貫いた。結局、きっかけを作ったガガが批判を浴び、アデルに謝罪して幕引きとなった。音楽以外の雑音にぶれることなく、常に直球勝負の歌だけでファンの支持を得たアデルならではのエピソードだと思う。ちなみに、『25』のリリース時には、アデルはダイエットに成功して大きなスポットを浴びている。